「岩井トラディション」とは、日本屈指の蒸留技師でマルス信州蒸溜所の創業に携わった「岩井喜一郎」への尊敬と感謝の気持ちを込めて名付けられたブランド名です。
岩井喜一郎と言えば、「竹鶴政孝」との深いかかわりがあります。
同じ出身校の大阪高等工業の14期先輩にあたる岩井氏は、本人が務める「摂津酒造」に竹鶴氏を入社させ、蒸溜技術の習得のためにスコットランドへ派遣させたのは有名な話です。
そのとき、竹鶴氏が持ち帰った実習報告書が、いわゆる「竹鶴ノート」と言われるものです。
これがなければ、山崎蒸溜所も余市蒸溜所を誕生しておらず、まさに日本のウイスキーの原点に岩井氏が関わっていたわけですね。
基本情報
- 商品名/岩井トラディション シェリーカスクフィニッシュ
- タイプ/ブレンデッドウイスキー
- 原材料/モルト、グレーン
- ALC /40%
- 蒸溜所/マルス信州蒸溜所
※「ペドロ・ヒメネス」に使用した樽で後熟(フィニッシュ)させている。
※一部に輸入原酒が使用されている。
テイスティング
ほのかに柔らかく甘い香りが漂う。
グレーン由来の穀物の要素が大きいのだろう。
味わいは、シェリーカスク由来のクリーミーな甘さを感じる。
グレーンとモルトの混成比率は不明だが、
「香り」はグレーン、「味わい」はモルト、とそれぞれの個性がはっきりしている。
これぞ、ブレンデッドウイスキーの魅力です。
ペドロ・ヒメネス樽の後熟ですが、程よい香味に留まり、刺激の少ないアルコール40%とともに、口当たりは非常に滑らか。
加水すれば、グレーン原酒とシェリー樽の双方からの香味のブレンドの妙が感じられる。
少々褒めすぎですが、なんと言っても3000円の価格帯です。
これは、プライベート用にはとても嬉しい。
輸入によるグレーン原酒ですが、このようにブレンドされた完成品なら、厳格な「ジャパニーズウイスキー」にこだわる必要はないのかもしれませんね。
プライベート用にひとつ、いかがでしょうか。
シェリーカスクフィニッシュの他に、「岩井・ワインカスクフィニッシュ」「岩井トラディション」の2種もありますよ。
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まとめ
写真は、3年前に撮影したものです。
2014年に役割を終えたポッドスチル。
その後に入れ替えたポッドスチルも当時の岩井氏の設計がベースになっています。

現在は、蒸溜所敷地内の屋外に展示されている。
2018年訪問時に撮影

2018年訪問時に撮影
先人たちの情熱があったからこそ、現在の私たちが国産ウイスキーを堪能できるわけですね。
マルス信州蒸溜所は、2020年9月に35年ぶりにリニューアルされています。
蒸留棟やビジター施設が新築されていますよ。
現地に訪れ、岩井喜一郎の功績を間近に感じながら「岩井トラディション」を味わってみるのも良いかもしれませんね。
最後までに、読んでいただき誠にありがとうございます、
・未成年の飲酒は法律で禁止されています。(お酒は20歳を過ぎてから)
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