「グレンアラヒー10年 カスクストレングス(バッチ4)」が、「World Whiskies Awords 2021」のシングルモルト部門の最高賞を受賞しました。
これは、イギリスのウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」(発行元:パラグラフパブリッシング社)が主催する国際的なウイスキー品評会です。
過去には「竹鶴21年」や「響21年」も受賞していますね。
受賞した「バッチ4」は、残念ながら日本には未入荷(2021年4月現在)のため、ご紹介するのは「バッチ1」「バッチ2」「バッチ3」の3種類。
スコットランドでは「バッチ5」まで登場しています。早く入荷して欲しいですね。
さて、「バッチ」とは出荷ごとの単位を指しますが、同じ「グレンアラヒー10年」でも「バッチ」ごとに風味が異なります。
このシリーズの魅力的なところですね。
この3本を比較することで、バッチの違いや魅力に迫りたいと思います。
「バッチ」ナンバーが、ウイスキーのラベルや箱に記載されるているのを見かけますね。 同じ「グレンアラヒー10年」でも、「左がバッチ1」、「右がバッチ2」です。 同じウイスキーなのに、なぜ「バッチ」の違いがあるのか? バッチ[…]
Batch 1

【基本情報】
- アルコール/57.1%
- Non-chill Filtered(非冷却ろ過)
- 熟成樽/「アメリカンオーク」「ペドロ・ヒメネス」「オロロソ」「ヴァージンオーク」の4種類
【テイスティング】
- 香 り/最初にスパイシー、その後に柑橘系の淡く甘い香り。最後にクッキーやチョコレートの香りが漂う。
- 味わい/蜂蜜のような甘味のあとに、スパイシーな刺激を感じる。
- ボディ/リッチで少しオイリー。
- 余 韻/甘い風味からバニラ風味へ。余韻は長い。
【感想】
「ペドロ・ヒメネス」「オロロソ」による濃厚な甘味を、「アメリカンオーク」のバニラ風味が程よく押さえている。そして「ヴァージンオーク(新樽)」からのスパイシー(刺激)なアクセントが嬉しい。
これはフレンチオーク由来の刺激ではないかと推測。
甘味とスパイスのバランスに長けていると感じた。
Batch 2

【基本情報】
- アルコール/54.8%
- Non-chill Filtered(非冷却ろ過)
- 熟成樽/「1stフィルバーボン」「ペドロ・ヒメネス」「オロロソ」「ヴァージンオーク」の4種類
【テイスティング】
- 香 り/蜂蜜やドライフルーツのような濃厚でダイレクトな甘い香り。
- 味わい/濃厚な香りのわりに、甘味は「バッチ1」より控えめでバニラ要素を感じる。
- ボディ/リッチでライト。
- 余 韻/ほのかに胡椒のようなスパイシー。それほど長くない。
【感想】
濃厚な甘い香りのわりに抑えの効いた味わいは、「バッチ1」に比較して「1stフィルバーボン」由来のバニラの要素が要因と感じる。
やはり、ここでも「ヴァージオーク(新樽)」からスパイスの効き方が絶妙。
香りと味わいのギャップが楽しい。
Batch 3

【基本情報】
- アルコール/58.2%
- Non-chill Filtered(非冷却ろ過)
- 熟成樽/「1st&2ndフィルバーボン」「ペドロ・ヒメネス」「オロロソ」「ヴァージンオーク」の4種類
【テイスティング】
- 香 り/オレンジピールのような柑橘系の香りから、クッキーやマツヤニのような濃厚な香りへ。
- 味わい/Alc度数の刺激とともに、舌に絡むような粘性のチョコレートの甘味。
- ボディ/濃厚でオイリー。
- 余韻 /Alcの刺激ともに柑橘系の残り香を感じる。余韻は長い。
【感想】
見た目からも、「バッチ1」「バッチ2」よりも明らかに濃い。
「2ndフィルバーボン」によりバニラ要素が減少し、「ペドロ・ヒメネス」「オロロソ」の要素から強く甘味が増している。
Alc度数が一番高い「バッチ3」は、Alcの刺激と粘性の濃い甘味とのバランスがポイントかもしれない。
ここは好みが分かれそうだが、とにかく濃厚でリッチで高級感を感じる。
まとめ
日本未入荷の「バッチ4」「バッチ5」を含めて、このシリーズの共通項は「10年」「カスクストレングス」「ノンチルフィルタード」そして「複数の樽による構成」です。
「複数の樽による構成」と言っても、全てに共通するのは「ペドロ・ヒメネス」「オロロソ」「ヴァージンオーク」の3つです。
この3つの要素を中心に、構成原酒の加減によりバッチごとの魅力が現れています。
そして、個人的には、後熟(フィニッシュ)の「ヴァージンオーク」が鍵を握っていると感じています。
同じヴァージンオークでも、「スパニッシュ」や「フレンチ」などのオークが異なれば樽由来の味わいも変化します。
新樽由来の強い木の成分の影響もあるでしょう。
勝手な感想ですが、ビリ・ウォーカー氏による「ヴァージンオーク」を使った絶妙な「さじ加減」が、このような素晴らしいウイスキーを作り出していると感じた次第です。
さて、よく店頭で見かけた「バッチ1」「バッチ2」も、ここ最近は見ることも無くなりました。
「バッチ3」に至っては店頭で見ることも無く、WEBでは即完売でした。
世界的なアワードの受賞、品質も優れている、日本への入荷数も少ない、となれば注目が集まるのも当然ですね。
機会があれば、ぜひ味わっていただき「グレンアラヒー10年 カスクストレングス」でした。
以上です。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
・未成年の飲酒は法律で禁止されています。※お酒は20歳を過ぎてから
・飲酒運転は法律で禁止されています。
・妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。