厚岸蒸留所のポテンシャルとチャレンジ「寒露」「雨水」への道のり

2016年にはじまった、北海道の南東部に位置する「厚岸蒸留所」。

なんと言っても本場スコットランドのアイラ島のウイスキー蒸留所を想起させるデザインが魅力的です。

もちろん、デザインだけではありません。

本格的なウイスキー造りに必要な「厚岸の自然豊かな恵み」と「こだわりの製造方法」があります。

そして、2020年に初めてのシングルモルトウイスキーが誕生した。

はやくも人気沸騰、日本全国のクラフトウイスキー蒸留所のなかでも、代表格と言っても過言ではないでしょう。

一方で、過剰なウイスキーブームも遠くない将来に落ち着くでしょう。

蒸留所の淘汰を経て、5年、10年とそれ以上に続く蒸留所はどこだろうか。

厚岸蒸留所のポテンシャルとチャレンジから、その将来に期待したい。

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ジャパニーズウイスキー

厚岸蒸留所のポテンシャル

厚岸蒸留所は、「アイラモルトのようなウイスキーをつくりたい」という、創業者の樋田恵一氏の想いから誕生した。

アイラモルトとは、スコットランドのアイラ島でつくられる「潮っぽい」「煙のよう」「薬品のよう」と形容される、個性的なウイスキーです。

好みが別れますが、熱心なファンも多く「ボウモア」「ラフロイグ」「ラガヴーリン」などが代表的 です。

そして、このアイラ島と同じような気候や環境を日本で探したところ、「厚岸」が選ばれたわけです。

すべてのジャパニーズ・ウイスキーファンへ

北海道・厚岸こそ、私たちの求める風味をつくり出してくれると信じ、この自然豊かな北の地を選びました。
塩気を含んだ深い霧、澄清な空気、豊富な泥炭、自然の恵み。
そして、ウイスキー・ラバーの熱意が、未知なるジャパニーズウイスキーを誕生させます。
「スコットランドの伝統的製法を受け継ぎ、かつ厚岸らしい風味のウイスキー」
それが厚岸蒸留所の目指すウイスキーです。
目覚めの瞬間をどうぞお待ちください。

「厚岸蒸留所」リーフレットより

このように作り手の強い想いから誕生した「厚岸蒸留所」。

そして、こだわりは、製造方法にもあります。

こだわりの製造設備

スコッチの伝統的製法へのこだわりから、スコットランドの「フォーサイス社」が設計から製造までのすべてを手掛けた日本では珍しい蒸留所です。

ポットスチルは2基。(2019年10月/蒸留所見学の際に撮影)

「アイラ島のような冷涼で湿潤な気候」に「本場スコッドランドの製造方法」と、昨今の数あるクラフト蒸留所のなかでも、ここまで特徴的な蒸留所はほかにはないでしょう。

将来への期待は高まるばかりですね。

厚岸蒸留所のチャレンジ

北海道産のミズナラ樽、厚岸産のピートなど、厚岸の特徴を生かしたウイスキーつくりが始まった。

初留は2016年11月に行われ、2018年には最初のニューボーンがリリースされた。

ここから「4種類のニューボーン」「待望のファーストシングルモルト」「二十四節季のシリーズ企画」と、怒涛のチャレンジが始まります。

ニューボーンとシングルモルト

2020年/個人撮影

ニューボーンとは、ウイスキーと名乗るには最低でも3年の樽熟成が必要なところ、3年未満の熟成途中で樽出しされた、いわば完成前の試作品とも言える原液を意味します。

完成品とは違う荒削りの風味ですが、そこには将来に秘めた可能性を感じとる楽しみがあります。

  • FOUNDATION 1:「ノンピートモルト」による「バーボン樽」熟成。Alc60%。
  • FOUNDATION 2:「ピーテッドモルト」による「バーボン樽」熟成。Alc58%。
  • FOUNDATION 3:「ノンピートモルト」による「ミズナラ樽」熟成。Alc55%。
  • FOUNDATION 4:「厚岸産のモルト」と「スコッチ産のグレーン」のブレンドによる「シェリー樽」熟成。Alc48%。

それぞれの組み合わせから、将来に向けた可能性、つまりチャレンジがうかがえます。

とくに、「FOUNDATION 2」に厚岸の魅力が詰まっていると個人的には感じています。

そして、蒸留所創設から初のシングルモルト「サルロンカムイ」が誕生します。

サルロンカムイとは、アイヌ語で「タンチョウ」を意味し「湿地にいる神」という意味。

原酒構成は、「バーボン樽」「シェリー樽」「赤ワイン樽」に中心となるモルトは「ミズナラ樽」となる。

まさに、ニューボーンでのチャレンジが、ここに結実している。

二十四節季シリーズ/「寒露」「雨水」

2021年3月/個人撮影

「サルロンカムイ」は250MLサイズのところ、「寒露」はフルボトル(700ML)として最初のシングルモルトとなる。

二十四節季シリーズの第一弾として、2020年の12月に15000本が発売された。

厚岸ウイスキー「二十四節気シリーズ」の第一弾です。
二十四節気とは一年を24等分して季節を表す名称を付けたもので、立春や夏至などもこれにあたります。
寒露とは二十四節気の「17」。
秋の長雨が終わりを告げるころ、野草に冷たい露が宿り、本格的な秋の始まりとなります。
厚岸ウイスキー 二十四節気シリーズ、いよいよ始動です。ストレートはもちろん、お好みで少量の加水、トワイスアップ、オンザロックなどあらゆる飲み方をお楽しみください。
時間をかけてゆっくり飲むと、香りが花開いて一層お楽しみいただけます。

出典/厚岸蒸留所HP

続いて、2021年2月には第二弾の「雨水」も登場した。

グレーン原酒に、厚岸産のモルト原酒の5割以上をブレンドしたブレンデッドウイスキー。

ニューボーンの「FOUNDATION 4」でチャレンジした「ブレンデッド」が早くもこの「雨水」で実現されている。

熱心なファンも増加し、入手がより困難な状況にもなっていますね。

さて、この加熱するウイスキーブームのなかで、これからの厚岸ウイスキーはどうなるのだろうか。

「自然豊かな恵み」「スコットランドの製法技術」そして蒸留所のデザインや販売における企画シリーズとブランディングにも長けている。

群雄割拠のクラフト蒸留所のなかでは、頭1つ抜けている存在ではあるだろう。

一方で、味わってこそのウイスキーでありながら、なかなかその機会が無いのも実情です。

飲んでその良さを知らなければ評判も広がらない。

これはクラフト蒸留所に共通するところです。

数年前に訪れた「秩父蒸留所」の見学でのこと。

蒸留所スタッフから、「生産数を安定させ定番商品をつねに店頭に並べてもらうことが大切だ」と聞きました。

実際に、イチローズモルトの通称ホワイトラベル(ワールドブレンデッドウイスキー)は、本当に店頭に並ぶようになり、いつでも購入できるようになりました。

クラフト蒸留所の生産能力から簡単なことではありませんが、普通に「飲んで楽しんでまた飲める」、そうなることを願いたいものです。

蒸留所見学

やはり味わってみないことには始まりません。

そんなときは、蒸留所見学に行くのが一番です。

残念ながら、厚岸の蒸留所見学はコロナの影響で現在は休止中ですが、厚岸の観光所となる「コンキリエ」内で厚岸ウイスキーを味わえます。

厚岸は「牡蠣」の名産地でもあります。

コンキリエでは、厚岸産「牡蠣」と厚岸産「ウイスキー」を組み合わせた究極のマリアージュも堪能できます。

冒頭に述べた「アイラモルト」こそ「牡蠣」と一緒に味わう食文化の先陣でもあります。

これも、厚岸に蒸留所が誕生した理由の一つですね。

参考までに、厚岸蒸留所の見学レポートです。

【見学】厚岸蒸留所(予約・コンキリエ・牡蠣)

以上です。

厚岸ウイスキーの魅力と将来性について、少しでもご認識いただけたなら嬉しく思います。

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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